難病で障害年金を受給できるの?難病での障害年金に関する基礎知識!
障害年金というのは、傷病名に対して支給されるものではありませんので、難病も受給の対象になり、障害等級に該当して認定されれば支給を受けることができます。ここでは、難病での障害年金に関する基礎知識についてお届けします。
難病とは?
難病
難病というのは、発病原因が分からず治療方法が基本的にはありません。よって長期療養を要する疾患といわれています。また難病は、治りにくい病気であり、日常生活でも制限が多くあります。医学的にも完治は難しいことが多いため、難病を抱えている方は定期的な通院はもちろん、服薬、生活自己管理などをしっかり行っていかなければなりません。難病患者の定義としては、発病原因が不明確、治療方法が確立していない、希少疾患である、長期療養を要することなどが挙げられます。
難病の症状
難病で、体調悪化による症状というのは、疾患でいろいろ異なります。しかし、治療継続で安定している状況の時は、症状自体は体の中で潜在化しています。また、悪化を示すサインには、体調が崩れやすくなる、疲れやすくなり、倦怠感、痛み、発熱、集中力低下などが、症状として出てきます。これは、他人から見ても分かりにくい症状であり、また、症状が安定している場合でも、特徴的な機能障害や症状が出るケースもあります。そして、自己管理に気を付けて生活を送っていても、常に症状が出る、症状や体調に変動がある、このような場合も珍しいことではありません。また、疾患進行で体に障害が残ったり、治療の副作用が出現することもあります。
難病でも障害年金請求は可能!
障害と聞くと、肢体障害をイメージされる方は多いと思いますが、対象となる傷病・障害は多岐に渡ります。一般的に治療が困難で、慢性の経過をたどる疾病が難病です。また、医学的に明確な定義をされず、不治の病に対して社会通念となっている言葉でもあります。障害認定基準では、「その他の疾患」による障害認定要領で難病に関しての記載があります。臨床症状が複雑多岐に渡っているため、その認定に当たっては、客観的所見に基づく日常生活能力などの程度を考慮し、総合的に認定すると示されています。また、診断基準や治療基準に該当する者は、病状経過や治療効果などを参考に、認定時の日常生活状況などを躯体的に把握して総合的に認定すると記載があります。つまり、難病対象疾患だから認定されるものでなく、病状経過、日常生活状況、治療効果などを総合的にみて認定するという意味です。ほとんどの難病では、障害年金請求が可能ですが、難病指定されていない病気の方でも、日常生活に支障があれば請求を行ってみましょう。
難病で障害年金を請求するには?
障害年金
障害年金の受給額は障害の程度で異なり、受給には受給要件を満たし、障害認定を受けることが必須です。また、障害基礎年金と障害厚生年金の2タイプがあります。医師または歯科医師での初診日に、国民年金加入者は障害基礎年金、厚生年金加入者は障害厚生年金を請求することが可能となっています。
障害年金請求の条件
初診日要件
初診日要件に関しては、国民年金、厚生年金の被保険者期間中、請求する障害について医師の診察を受けおり、その証明が取れることが条件になります。この初めての診察日を初診日といい、20歳前に初診日がある傷病による障害や、国民年金加入で60歳~65歳未満の間に初診日のある傷病での障害の場合は障害基礎年金受給の対象となります。
年金保険料納付要件
年金保険料納付要件に関しては、「初診日の前日において、初診日の属する月の前々月迄の国民年金加入期間において、年金保険料の納付月数と保険料免除期間、学生納付特例または若年者納付猶予の対象期間の合算月数が2/3以上有ること」(原則)。またこれを満たしてなくとも、「初診日の前日において、初診日の属する月の前々月迄の過去1年間に年金保険料滞納月が無いこと」(特例)。また、被保険者でない20歳前の傷病で障害状態になった方は、保険料納付要件は特に問われません。
障害認定日要件
障害認定日とは、障害認定を行う日であり、初診日から起算して1年6ヶ月経過した日、あるいは、1年6ヶ月以内に傷病が治った日を指します。ただし、特例があり、初診日から1年6ヶ月を経過してなくとも請求手続きを行うことが可能な傷病もあります。具体的には、人工透析をしている場合は人工透析開始3ヶ月を経過した日、心臓ペースメーカーや人工弁を装着した場合は装着した日、人工肛門、人工膀胱、人工関節を造設した場合は造設した日、手足切断の場合は切断された日、脳梗塞・脳出血などによる障害で、医師が症状固定と判断している場合は、初診日から6ヶ月以上経過した後に、書かれた診断書に記載されている日付が障害認定日となります(いずれも初診日から1年6か月以内に限る)。また、障害認定日には障害不該当だったが程度が増進し、65歳に達する日の前日までに該当した場合は、事後重症請求を行うことができます。
障害年金と働くこと
障害年金は、働いていても受給できるのかということも気になる点かと思います。その詳細ですが、たとえば、障害等級2級では、原則就労不能とありますが、認定基準では、人工透析の場合2級になります。実際、人工透析を行って働いている方は沢山います。障害年金では、一般的事項より、眼の障害や聴覚障害などそれぞれの障害別の基準が優先されています。よって、働いていても認定基準をクリアしていれば障害年金は受け取れます。
障害年金請求の種類
障害基礎年金
障害基礎年金は、請求する障害(病気)で初めて医師または歯科医師の診療を受けた初診日に、国民年金加入者が受給できる障害年金です。また、20歳未満または60歳以上65歳未満で年金制度に未加入の間に、請求する障害(病気)で初診日があり、障害状態が続いている方へも給付されるようになっています。障害基礎年金の支給額は、障害等級と子供の有無によって決定します。1級の場合の年額は約780,000円(年金の満額)×1.25+子の加算、2級の場合の年額は約780,000円(年金の満額)+子の加算となっています。また、子供の数による加算では、第1子・2子は一人約220,000円、第3子以降は一人約75,000円です。子供の数によって加算額は、児童手当に合わせて支給額調整されます。また、子供に関しては、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子、20歳未満で障害者1級・2級の障害がある子、この要件を満たしていることが必須です。
障害厚生年金
障害厚生年金は、障害や病気で初めて医師または歯科医師の診療を受けた初診日に、厚生年金加入者が受給できる障害年金になり、障害基礎年金に上乗せして給付されます。障害厚生年金を受給するには及ばない障害の方は、障害手当金が一時金として支給されます。障害厚生年金の額(報酬比例の年金額)は、厚生年金加入期間中の標準報酬額、加入期間に基づいて支給額は決定します。 1級の場合は報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金(約220,000円)、2級の場合は報酬比例の年金額+配偶者の加給年金(約220,000円)、3級の場合は報酬比例の年金額(最低保障額約580,000円)となっています。1級・2級の場合は、障害基礎年金も加わります。また、3級より軽い障害の場合は、一時金として障害手当金があり、報酬比例の年金額×2.0となります。
障害年金を受給するためのポイント!
障害状態によって等級は変わりますが、提出する書類内容によって、本当は2級相当であるにも関わらず、等級が3級になってしまったり、不支給になったりということがあります。そのため、請求する前に書類をしっかり準備することが大事になります。障害年金の受給対象となる難病はたくさんありますが、障害年金を受給するためには審査をクリアしなければなりません。障害年金の審査では、病状はもちろんですが、難病の程度が日常生活においてどの程度制限があるか、具体的、かつ、厳密に審査されるので、そこをしっかり示すことが重要になります。請求後、結果に不服がある場合は、審査請求、その結果に不服がある場合は再審査請求と2回ありますが、やはり初回の請求が大事になります。
まとめ
ここでは、難病で障害年金請求を検討している方へ、正しい知識と手続き方法をお届けしてきましたが、いかがでしたか?難病で障害年金を受給する場合は、様々な要件をクリアしていることが条件です。また、一度請求した書類を簡単に変更できるわけがありません。障害年金の準備を行う際には慎重に進めていき、自分の納得のいく書類を整えることが大事なポイントです。もし、手続きに不安があればプロの専門家に頼るのがおすすめで、抜かりなくしっかり書類を揃えることができるので、気軽に相談してみましょう。
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